日本将棋連盟第68回定時総会後の会見

(2017年5月29日17:00から 将棋会館)

冒頭あいさつ・発表

 佐藤康光会長 本日5月29日に第68回定時総会と理事会が開催され、引き続き私佐藤が会長に選任されました。よろしくお願いいたします。
 本年6月より叡王戦がタイトル戦として34年ぶりに昇格し、これからは棋戦として八大タイトル戦となります。初めて新聞社様以外で棋戦のタイトル戦を主催していただきます株式会社ドワンゴ様には深く感謝申し上げます。今までタイトル戦や棋戦を積み重ねていただいている歴史は非常に重いものがあり、我々棋士にとりましても非常にかけがえのないものでございます。新聞社様はじめお世話になっております関係各位の皆様には、まことに言葉が足りないんですけども、ただただ感謝申し上げるよりございません。棋士・女流棋士もそれにふさわしい内容で勝負を刻んでまいりました。今後も邁進していくことをお誓い申し上げます。叡王戦は現代に生まれたタイトル戦として、今までとは違う新たなスタイルで皆様に魅力をお伝えできると確信しております。また全棋戦での1局1局にもご注目いただきたいと思っております。
 昨年秋からの一連の問題で、5月23日に三浦弘行九段と日本将棋連盟との間で和解の合意に至りました。三浦九段の疑惑は晴れておりますので、その周知により努めていきたいと思っております。今後二度とこのようなことが起こらないよう、3月に対局規定委員会を発足し、対局規定、環境づくりを現在整備しております。またタイトル戦における金属探知機の使用など、再発防止に努めてまいります。また組織としてのあり方を、会員の皆様をはじめ多くの皆様と議論して、外部常勤理事を導入するかどうかなどを含め、新たな形を作っていければと考えております。
 今年の3月には映画「3月のライオン」、また藤井聡太四段の活躍で、将棋界を取り上げていただく機会が大変増えており、新たに将棋を始められる方、将棋界に関心を持っていただく方が大変増えているというふうに感じております。一過性にすることなく、全国の普及事業の受け皿をより大きくして対応できるように努めていければと思っております。
 本年10月には第7回国際将棋フォーラムが北九州市で開催されますけれども、3年後には東京五輪・パラリンピックが開催されます。こちら東京将棋会館はメイン会場の新国立競技場から非常に近い場所にございますので、その立地を生かして、海外の皆様に世界有数の知能ゲームでございます将棋をアピールする絶好の機会だと考えております。将棋が世界の皆様にとりまして身近に感じていただけるようなイベントを計画したいと思っております。
 他にも課題が山積しておりますけれども、十八世名人資格保持者の森内俊之九段や、女流棋士として初めて常勤理事となられました清水市代女流六段をはじめとして、新任として役員となられましてみな張り切っておりますので、一歩一歩前に進めればと思っております。
 これからも将棋界に変わらぬご声援をよろしくお願いいたします。
 以上があいさつになります。

 そして本日の総会の総括ということですけども、午後1時から第68回通常総会が始まり、新会員の紹介、各部報告、三浦九段の和解成立のご報告、事業報告の承認、決算書の承認、また対局規定の変更の件での承認、今回新たに理事・監事となられます方の選任、その後、新役員の紹介ということで皆様にごあいさつという形で進みました。時間としては3時半ごろ終了と、ほぼ予定通りの進行となりました。

 森内俊之専務理事 本日の理事会にて専務理事という大役を仰せつかりました。初めての理事就任にも関わらず、このような責任の重い地位を引き受けることになり、身の引き締まる思いです。将棋の世界は多くのファンの皆様、そして関係者の皆様に支えられて成り立っている世界であり、改めて感謝申し上げたいと思います。先輩方から受け継ぎましたこの伝統文化の世界をより発展させて後輩たちに引き継いでいけるよう、全力で務めたいと思っております。どうか今後とも将棋界へのご指導、ご支援をよろしくお願い申し上げます。

 脇謙二常務理事 本日常務理事に就任いたしました関西本部所属の脇謙二です。よろしくお願いします。関西本部では総務と渉外部を担当させていただきます。現在、関西にはすごくいい風が吹いております。5タイトル戦連続で関西から挑戦者が出ております。うち4人は初めての挑戦で、非常に若い棋士たちが力を発揮してくれているなと思います。皆様ご承知のように藤井聡太四段の活躍はもはや社会現象といってもいいくらいの話題性を持っております。こういった若い棋士からの力を活用して、将棋界全体を盛り上げていけるようにがんばっていきたいと思いますので、応援のほどをよろしくお願いいたします。

 井上慶太常務理事 関西本部所属の井上慶太です。今回常務理事を仰せつかりました。よろしくお願いいたします。先ほど同じ関西所属の脇八段よりだいぶ私が言いたいことを言われてしまったんですけれども、やはり何と言っても今、関西は若手棋士がタイトル戦で次々とタイトル挑戦を果たしております。また藤井四段も関西所属の棋士ということで、関西での対局が非常に多くなって、現在非常に広報等たくさんの問い合わせが来ております。また、みなさんもご承知かと思いますけども、対局でも非常に各社取材、マスコミに来ていただいております。この非常に良い風を、普及や将棋教室、イベント等々いろいろな分野で発展させていきたいと思います。これからもどうぞよろしくお願いしたいと思います。

 森下卓常務理事 12年前の理事会に通らせていただき、今回10年ぶりに理事職を仰せつかりました。メディア部と総務部を預からせていただきます。将棋界は非常に古い伝統があり、ファンの皆様、スポンサーの皆様、また関係ご各位、そして偉大な先人の力があり今日があると思っております。そういった方々の努力を引き継いでいけるようにがんばっていきたいと思っております。また藤井聡太四段はじめ将棋界には真面目で魅力的な有望な若手棋士が多数おります。将棋界の一番大きな財産だと思っております。彼らに十分輝く舞台をつくってあげたい、また彼らの力によって将棋界を輝かせてもらいたいと思っております。そのために及ばずながら職責を果たしたいと思っております。どうぞご指導をたまわりますようよろしくお願いいたします。

 鈴木大介常務理事 渉外部を担当させていただく鈴木大介です。よろしくお願いいたします。渉外部ということで大変な大役を任されたわけですが、選んでいただいた佐藤会長の期待に少しでも添えるようにがんばっていきたいと思います。自分自身は性格的に、対局の将棋の内容もそうなんですけど、ちょっとおっちょこちょいで調子に乗りやすいところがあると思いますので、堅忍不抜の志の気持ちでがんばっていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 清水市代常務理事 本日より常務理事を務めさせていただきます清水市代でございます。将棋界の発展のため、そして将棋を愛してくださる皆々様すべての皆様のために、力の限り尽くしてまいりたいと思っております。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

質疑応答

(質問者は所属のみ掲載し、氏名は伏せています)

 Q(東京将棋記者会幹事社・共同通信・A) 総会での具体的なやりとり、白熱した議論があったかと思うが、代表的なものでけっこうですから、お聞かせ願えれば。
 佐藤会長 そうですね、一番ご質問が多かったのは三浦九段の和解に関するご質問で、さまざまなご質問もあり…まあ難しいところもあったんですけれども、ご理解をいただけたのではないかと感じております。

 Q(東京将棋記者会幹事社・共同通信・A) 今後の将棋連盟の舵取り、考えられる喫緊の課題は何か。
 佐藤会長 非常に山積しているかなとは思っておりますが…目下のところはいろいろな形でのルール作りというのが非常に急務かなと思っております。もちろん対局規定委員会の整備もいま行っておりますけども、連盟としてのルール作り等もしっかりとしていきたいと思っております。

 Q(東京将棋記者会幹事社・共同通信・A) 清水さんにおうかがいします。女性で初めて常務理事ということで、率直なご感想を。
 清水常務理事 これは逆に聞かせていただきたいんですが、いかがですか。
 Q(東京将棋記者会幹事社・共同通信・A) 大変だと思うんですけれど、今後の女流棋界を含め、どのような将棋界にしていきたいかといったことを含めてお聞かせください。
 清水常務理事 女性ということで大変、選挙期間中から注目をしていただき、将棋界以外の方々からの激励が大変多く届きました。それが自分にとって大きな励みになりました。やはり将棋界、歴史が大変深く重く長くございますが、女流棋士であるがゆえに、ある意味、特殊な立ち位置に立たせていただく場合も多くございますが、それが今は逆に幸いしているかなという感じがございまして、かえって将棋界の長い歴史の中の習慣にとらわれることなく、新しい感覚で運営にあたっていける、またそれに期待していただけるところも多いと思いますので。連盟が、将棋界が発展すればもちろん女流棋界も発展してまいりますので、そういう意味で、男女関係なく、先頭にというか先駆けとなってがんばっていけたらいいなという強い思いはあります。

 Q(東京新聞・B) 森内専務理事に。フリークラス宣言をされて将棋ファンはみな驚いたと思うが、当時から理事に出ることを考えた上での宣言だったのか。
 森内専務理事 フリークラス宣言については、今年ではなくて、具体的に言いますと2年ほど前にA級から降級するというピンチがあり、その時に降級したらどうするかということを考えておりましたので、今年急に考えたことではありません。理事職につきましては、今年、佐藤会長が誕生するまで理事選に出ようと考えたことはなかったんですけれども、若いころから切磋琢磨してきた佐藤さんが会長になられたということで、自分たちの世代でもこのような役職を務める時期になったのかなあということを感じましたし、将棋界が難しい時期になっており、自分でお役に立てることがあればと思い、立候補を決意いたしました。

 Q(将棋ライター・C) 2005年に当時の米長会長の時代に始まった棋士とコンピューター将棋ソフトとの対局の制限について。先日、電王戦がコンピューター側の勝利で終わった。この先、棋士個々人の判断で例えばエキシビションなどの場でコンピューター将棋と自由に指したりすることは可能となるのか。
 佐藤会長 正直まだそのご質問に対するはっきりとした決定はしてませんが、今回電王戦でプロ棋士とソフトの対決はひと区切りという形にはなりました。ただ、まだ気運が盛り上がれば、そういうことをやっていく可能性はあるかなとは思っておりますが、エキシビション等は直接ではなくて、一度連盟に話を持ってきていただいて判断することになるかとも現在は考えております。ただ当面は電王戦でひと区切りという形を私は考えております。

 Q(報知新聞・D) 新任の5人に。立候補を決意するにあたって、みなさん現役の棋士で、また直前には一連の問題があったが、そこであえて手を挙げた思いを改めてうかがいたい。
 森内専務理事 昨年以来、将棋連盟はすごく難しい状況になっており、そういう中で、立候補に関してはすごく迷いもあったんですけれども、今まで30年間棋士としてやらせていただいて、活躍もさせていただいて、先輩方がこういう世界をつくってくださったおかげで棋士として活躍できましたので、後輩たちへの恩返しというか、そういうことも考えて最終的には決断いたしました。
 脇常務理事 私は奨励会幹事をやっていて、その当時に入会した子やプロになった子がたくさん今、活躍しております。その子たちの、将棋を指して生活していくプロの環境を、何としても引き継いでいきたい、つなげたい、そういう思いから立候補いたしました。何とかこの将棋界の良い伝統を後輩たちにも引き継いでいきたい、そういう思いから出させていただきました。これは藤井聡太くんにも言えることなんですけれども、若い子たちの将来を奪うようなことを先輩がしては絶対いけないと、そう感じたので、何かできるのではないかと思って今回立候補しました。
 清水常務理事 盤上ではよく読み筋どおり進まないということは常なんですけれども、将棋界においてまったく本当に思いもよらない事態が次々と起こり、何を信じればいいか自分自身でも本当に分からなくなってしまって、そういう時に本当に先人の方々、そして偉大なる諸先輩方が築き上げてこられたこの連盟というものが一体どうなってしまうのか、それがもう本当に心配で、どうにもいてもたってもいられなくなってしまって、その時に何か新しいもの、よりよい方向に進むきっかけが何か新しい風を吹かせることがもし自分にできるのであれば、お役に立ちたいという思いが大変強くわき上がってきまして、その時にやはり将棋界ではない、将棋界を愛してくださる皆様からのご助言が大変大きなきっかけとなり、選挙に出させていただくことになりました。
 森下常務理事 私個人としては2年前の夏ごろから今回の理事選に立候補させていただこうという思いがわいてきまして、親しい数人の棋士には伝えていたんですが、その後紆余曲折があり、やっぱり立候補を取り下げますと言っておりました。その後、谷川会長や島常務理事が辞任されたころ、親しい棋士の方から、こういう非常事態であるので、あなたも前に立候補すると言っていたんだから出てみる意思はありませんかと言われ、立候補のことについて真剣に考えました。その後また紆余曲折がいろいろあったんですけども、2月の臨時総会で3人の理事の方がやめられることになり、その時に非常に親しい記者の方から、これは本気で考えないと非常にまずいですよということを強く言われ、その時にやはり出させていただこうというふうに決意するにいたった次第です。また将棋界がファンの皆様、スポンサーの皆様、ご関係各位、また先人の力によってここまで来ましたので、自分たちの代でそれを断ち切ってしまうようなことはやはりしたくありませんので、また非常に有望な多くの若手棋士がいますので、彼らにぜひ活躍の舞台を僭越ながらつくることができたらという思いで出させていただきました。
 鈴木常務理事 自分は2年前に、まあちょっといろいろありまして、理事になろうと決めて、まわりの会員の棋士のみんなには話しだしていました。で、三浦さんの一件なんですが、三浦さんと自分は年代が近いこともあって、奨励会でプロ入りする前から一緒に、うちにも彼がアマチュアの時に泊まりに来たこともありましたし、そういった間柄なので、昨年の暮れぐらいからこの問題は同世代の棋士としてすごい心苦しかったこともありますし、とにかく三浦さんのために少しでも話を前へ前へ進めていきたいという思いがあったので、ますます理事になろうという気持ちを強めたのは確かです。それからはずっと、自分としては三浦さんの少しでも名誉回復と将棋連盟の信用維持を進めていきたいという一心で、昨年の10月くらいからは同じ棋士同士で話したりしていて、理事選に出ることになりました。また自分がこうやって理事にさせていただいたのは、そういった言葉を若い棋士、自分と同年代以下の棋士が支持してくれた結果だと思っています。ですので今後もその2点、三浦さんの潔白はもうはっきりしましたので、三浦さんの今後の名誉回復ということをやっていきたいですし、連盟の情報が透明化してある程度情報を出すことで、将棋連盟の信用維持にも努めてまいりたいと思っています。

 Q(朝日新聞・E) 先ほど総会の総括のところで、対局規定の変更の報告という説明があったかと思うが、それは何なのか。それから三浦九段の一件の説明に対していろいろ質問があったということだが、どういう質問かとか、あるいは理事会のこういう対応をもっととるべきだとか、どういう声があったのか、もう少し詳しく。
 佐藤会長 対局規定のことは、現状、対局規定に記載されている事項として、対局規定の改正を総会で可決された場合に行うという項目があり、それを「本規定の改廃は理事会の決議で行う」というふうに改めることになりました。それを可決、賛同をいただいたということです。実際問題としては、将棋連盟の定款によりますと、総会で対局規定を可決する必要は実はありませんで、元々定款が優先されますので、理事会の決議で行うということが元々のこととしてありました。ただ昨年、電子機器問題に関する規約が12月にでき、その時に改めて半年後に総会で見直すという発言が常務会のほうであり、今回、3月に対局規定委員会を設置した時に、規約を含めて見直すんですけれども、その前にまず元の部分をはっきりと、決めていくというより意思確認という意味合いが多いんですけども、そういう形をより明確にしたということです。
 三浦九段の件に関しては、さまざまな本当にご意見がございまして、今回の一件にかかった費用の問題とか、ご意見がいろいろあったということで、もちろんそれはご批判もあれば、ご提言もあれば、先輩方からのありがたいご忠告も含め、さまざまなことがございました。現状、和解に至る経緯をお話しし、連盟の顧問弁護士にもご同席いただき、経緯等の説明もより具体的に、ご質問等も受けさせていただいたということです。

(質疑応答打ち切り)

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