将棋連盟と三浦九段の和解会見

(2017年5月24日17:00から 将棋会館)

冒頭あいさつ・発表

 佐藤康光会長 今回、三浦弘行九段と日本将棋連盟の間で和解の合意が成りましたので、そちらのご報告をさせていただきます。
 昨年、三浦九段が公式戦の対局中に電子機器を使用して不正行為に及んだのではないかという疑惑があったことに関しまして、昨年末、第三者調査委員会の調査報告書により、三浦九段の疑惑は晴れました。その後、両者の間で話を進めまして、5月23日(昨日)に和解する形で合意いたしました。
 おもな内容は以下の通りになります。

・第三者調査委員会作成の調査報告書における、「三浦九段が不正行為に及んでいたと認めるに足りる証拠はない」旨、および「日本将棋連盟による本件対応は許容される範囲内の措置であり、やむを得ないものと評価されるべきである」旨の結果について、これを受け入れることを相互に確認する。
・日本将棋連盟は三浦九段に対し、不利益を生じさせたとの第三者調査委員会の提言を真摯に受け入れ、三浦九段に謝罪した上、慰謝料(金額は非公表)を支払う。
・本合意の成立をもって円満解決とし、本件に関して相手方の名誉・信用を棄損、あるいは平穏なる生活を害し、あるいは業務の遂行に支障をきたすような言動を相互にしないものとする。
・三浦九段は今後、本件に関して民事・刑事を問わず何らの請求をしないことを約束する。

 また、双方の確認事項といたしまして、

・平成28年10月11日に実施された常務会での三浦九段に対する事情聴取の場で、三浦九段が「しばらく棋戦に休場したい」旨の申し出をし、同月15日から始まる竜王戦七番勝負に出場しなかったことについて、日本将棋連盟による強要はなかったという事実を相互に確認する。
・聴取の際、実際には日本将棋連盟から「竜王戦が開催されなくなった」という趣旨の説明がされたという客観的事実はなかったこと、にもかかわらず三浦九段の記者会見で上記発言をしたのは、聴取の際、「このままでは問題である」という趣旨の話題が出ており、三浦九段がこの話題を「竜王戦が不開催」と認識したためであったことを確認する。

 以上になります。
 三浦九段の疑惑は晴れております。これからもよりその周知に努めたいと思います。今後二度とこのような問題が生じないよう、3月には対局規定委員会を発足いたしまして、対局規定、環境づくり等を現在整備しております。また、プロ棋士として対局者の意識徹底に努めてまいります。
 将棋に関わります多くの皆様、三浦九段とご家族の皆様におかれましては、長きにわたりご心配をおかけいたしましたことを申し訳ございませんでした。(立ち上がって記者席側に一礼、隣の三浦九段に一礼)。
 今回をもちまして円満解決とさせていただきます。今後とも将棋界をよろしくお願いいたします。
 以上です。

 三浦弘行九段 先ほど渡辺竜王が将棋会館のほうに来られて、謝罪をしていただきました。渡辺竜王も私も、あるいは他の棋士も、将棋界の発展が一番だと思っていますので、これからは将棋界の発展…若手でも藤井聡太さんが活躍されていますし、将棋界が盛り上がっているところですので、これからは将棋連盟が発展するように尽力していきたいと思っていますので、これからもよろしくお願いいたします。

質疑応答

(質問者は所属のみ掲載し、氏名は伏せています)

 Q(東京将棋記者会幹事社・産経新聞・A) 23日に和解に合意したということですが、改めてお二方の和解に合意したお気持ちをお聞かせください。
 佐藤会長 私がこちらのほうに関わらせていただいたのは、2月6日に会長に就任してからこの交渉をずっと続けており、約3か月半ぐらいですか、非常に期間としても長くかかったと思っておりますが、お互いに真摯に議論して、その結果、このように本日を迎えられたことは大変良かったと思っております。
 三浦九段 先ほどお話しさせていただいたように、この問題が長引いて、せっかく将棋界が盛り上がっているところに水を差すような形になってしまってはいけないと、棋士なら誰しもが思っていることですので、これからは将棋界の発展に棋士の1人としてがんばっていきたいと思っています。

 Q(東京将棋記者会幹事社・産経新聞・A) 慰謝料の他に、金銭以外での三浦九段の名誉回復策・支援策を何か考えているのか。その辺についてもお互いに合意された件はあるのか。
 佐藤会長 三浦九段の疑惑が晴れているということを、私も会長就任当時に申し上げたかと思っておりますが、それをより周知徹底していく。今までは連盟のホームページ等でもそういう記載はあったけれども、より強化していくということです。また三浦九段がより万全な対局環境に努めるようにというところもより配慮していきたいと思います。一番はやはり、三浦九段の疑惑が晴れているということを皆様により強く言っていくことだと思っています。

 Q(東京将棋記者会幹事社・産経新聞・A) 今回の合意について、連盟所属の全棋士・女流棋士にどういう形で伝えていくのか、もう伝えたのか。
 佐藤会長 合意自体は昨日ということで、まだお伝えしてはおりませんので、今日初めてご覧になっている方もいらっしゃるかと思いますが、これから会員には通知をします。毎月、月例報告会があり、さまざまな会員からのご意見もいただいてまいりました。そういう意見等もうかがいながら、ただ将棋連盟と三浦さんの和解に向けてということなので、常務会の我々と三浦さんの間で進めてきた話ということになります。これからお伝えする形になります。

 Q(東京将棋記者会幹事社・産経新聞・A) 渡辺竜王が謝罪に来られたということで、どのような言葉があったのか、どこで、突然来られたのかそれとも事前に謝罪に行きたいというようなことがあったのか、その辺をできるだけ詳しく。
 三浦九段 正直、渡辺竜王が来られたのは急だったので驚きだったんですけれども、3階の応接室で、竜王が謝罪をしたいと言われ、それで、今回お互い傷を負ったという話を私からして、ただ将棋界を盛り上げていこうという気持ちは一緒ですので、その辺はもう暗黙の了解で伝わったのかなあと思っていますけれども。
 Q(東京将棋記者会幹事社・産経新聞・A) 渡辺竜王からはどういう謝罪の言葉があったのか。
 三浦九段 いや、まあ、「すみませんでした」と、2回か3回そういった言葉を繰り返し言っていただきました。

 Q(報知新聞・B) 円満解決ということで非常に喜ばしく思っている。三浦先生に1点うかがいたい。先ほど佐藤会長が読み上げられた項目の5番目と6番目は今までお話しされてきたことと違うかなというところも感じるが。
 三浦九段 これは、ちょっと、佐藤会長に…
 佐藤会長 そうですね、双方の確認事項として、その2つのことは確認したということです。
 Q(報知新聞・B) 三浦さんからも一言…
 三浦九段 ちょっと詳細は差し控えさせていただきたいと思います。すみません。

 Q(NHK・C) 慰謝料の金額は非公表ということだが、算出方法は、例えば休場期間中の対局料とか、あるいはそうでなくて精神的な被害に対して算出したとか。
 佐藤会長 先ほど申し上げた部分ともかぶりますけれども、連盟の本件対応が許容される範囲内の措置でありやむを得ないと評価されるべきである、ただ第三者調査委員会の提言を真摯に受け入れ、話し合いを進めながら総合的に判断した金額になります。
 Q(NHK・C) 対局料とかが入った総合的な判断ということか。
 佐藤会長 いや、対局料という観点はなかったと思います。

 Q(朝日新聞・D) 三浦九段は復帰してから対局に臨むにあたってボディーチェックを求めたり、これまでの対局とは違う環境のもとで対局されてきたが、今後は。対局規定を並行して決めているところだが、安心して対局に臨むために将棋連盟に望むことは。それに対する会長のご意向も。
 三浦九段 せっかくの和解の会見ということで、これを機にというお話もいただいたんですが、金属探知機の検査も、ちょっとどうかという…私だけやっていただければいいかなあと思ったんですけど、せっかくの和解会見が何かまだ疑惑を持っているのかという話になっても困ると思いますので…これはちょっと私の個人的なわがままと言うか何と言いますかね、正直言って最初のほうでは多少意地になっているところもあったんですよね、やってほしいというのは…ただ、もう少し心の整理がつくまで、ちょっとだけまだ続けたいなと。時期を見て…そうですね、あまり私だけやるというのも何か見ている人が違和感を持ったりすると良くないかなというのは正直私も思っていますので、時期を見てやめてもらおうかなと。ただ、もう少しだけお付き合いいただければなと。その分だけ職員に手間を取らせてしまうとかありますので、それはそれで申し訳ないんですけれど、ですので時期を見て、納得したらやめてもらおうかなと思うんですけど、もうちょっとだけ金属探知機を…整理がちょっとね、これは私の心の弱さなんで本当に申し訳ないんですけれども、必ずもう少ししたら終わりにしようかなあと思っていますので、すみませんけど、もう少しだけお付き合いください。
 佐藤会長 将棋連盟としては、タイトル戦は一部そういうところを取り入れておりますけれども、普段の対局でもそういうものを取り入れるかどうか検討している最中ですので。現状は三浦九段と対戦相手だけが受けているという状況になっておりますので、今回の和解会見をもちまして…三浦さんのご要望もありましたので少し続けて、後は他の対局者と同じ環境でというふうに思っております。もちろん対局環境の強化は目指していきたい、より対局者が安心して対局できる環境を整える方法を議論していますので、より環境を整えていきたいと思っています。
 三浦九段 すみません、1点だけ…私は対戦相手に現状を求めてはいないので、自分だけちょっと安心感のためにやっているだけですので、相手に求めていることはないです。
 佐藤会長 失礼しました。相手の方がですね、やはり平等な条件で戦いたいと希望される棋士が多いというか全員でしたので、そういうケースになっているということです。

 Q(ITmedia・E) 今回の件で当初、公式発表をほとんどしないで週刊文春を使ったことがファンに疑心暗鬼を生んだと思うが、今後、何か緊急事態が起こった場合の対策は。
 佐藤会長 現在こちらも議論している最中ではあるんですけども、会員自体が現在でも情報を流すとかそういう話が話題になってしまうことがありますけども、しっかりとした意思統一をできるように努めてまいりたいですし、それの規定というのも整備していく方向でおります。
 Q(ITmedia・E) 渡辺明さんがブログで、ファンに直接説明する機会があればやりたい、できれば双方向性のある場でやりたいとおっしゃっていたが、それはもう行われないのか。
 佐藤会長 現状こちらの方ではちょっと分かりませんので、お答えできないところです。
 Q(ITmedia・E) 本日の会見時間が30分と事前にアナウンスされたが、どなたの意向か。
 佐藤会長 特にないですけど、連盟のほうで決めたということです。

 Q(日刊スポーツ・F) シロだったものがクロだと言われていたわけだが、それによる経済的な損失額は算定されたと思うが、うかがえる範囲でおうかがいしたい。それと三浦九段に、これから対局したい3人ぐらいと、その理由を。
 三浦九段 (弁護士と話して)和解の金額についてはお答えは差し控えさせていただきたいんですけども。
 3人ですよね…そうですね、やはり藤井聡太くん。あともう2人…じゃあ渡辺竜王ということで。あと1人…あと1人ですか、そうですね、橋本さんで、はい。別に他意はないんですけど…佐藤会長が横にいるので佐藤会長と3人とやりたいですね。

 Q(将棋ライター・G) 今回の一連の件ではまず第三者委員会の側にかなりの額、数千万円単位に及ぶ支払いがされると聞いている。また三浦九段の側にもかなりの額が補償される。その支払いの原資は将棋連盟の予算からか、それとも告発した棋士やあるいは誰か他の人が負担するのか。
 佐藤会長 現状は将棋連盟の原資でと考えております。ただ当然それは高額になるので、それをどうしていくかということについては、いろいろ連盟のほうでもこれから議論がされていくのかなと思っておりますが、現状、私の考えはそうなっております。

(質疑応答打ち切り)

 佐藤会長 本日をもちまして今回の一件について終止符を打ちたいと思っております。これからも将棋の真剣勝負を、より、いかに透明性を高めてお伝えしていくかということが非常に大事なことですので、よりファンの方に楽しんでいただける将棋界を目指していきたいと思いますので、これからもどうぞご指導のほどをよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。

(佐藤会長と三浦九段の握手の撮影)

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