三浦弘行九段の復帰会見

 (2017年2月7日15:00から 将棋会館)

 Q(幹事社) まず2月13日、来週の月曜日に竜王戦の対局をされるということだが、復帰に向けての抱負を。
 三浦九段 初戦が羽生さんということで、本当に早々、大変な相手と対局することになるんですけれども、思い切りぶつかるだけですね。胸を借りるつもりでがんばります。
 …あ、済みません、最初みなさんにご挨拶しなかったので…本日はお忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 Q(幹事社) いま体調の方は、あるいは精神的な部分は。
 三浦九段 そうですねえ、まあ…私よりちょっと家族の方が参っているので、そっちの方が心配ですね。
 Q(幹事社) ご家族のことを心配しなければならないという…
 三浦九段 んー、まあそうなんですけど、やっぱりね、対局は対局。そこは切り替えて、私自身、復帰するからには本当に言い訳できないので、頑張るだけですね。

  将棋の勉強はできているのか。
 三浦九段 うーん、まあ…正直言って、先週初めに本当に騒動が起こってから初めて駒を触ったような感じなんですけれども、今日この取材を受けて一区切り付くと思いますので、まだ1週間近くありますので、勉強に集中したいと思っています。

  昨日、佐藤新会長に替わったが。
 三浦九段 はい、えー、佐藤新会長は私のことで何か触れましたか? 私は佐藤新会長とお会いしたので…
  棋士会会長時代に棋士の声をうまく吸収できなくて申し訳なかったということをおっしゃっていたが。
 三浦九段 佐藤新会長のご自宅にうかがって、まずは佐藤新会長の方から「今回のことを本当に申し訳なく思う」というふうに言っていただきました。「まずはその謝罪をしたかった」ということを言われました。…佐藤新会長からはお答えにならなかったですか、日にちとか。
  日にちまでは…
 三浦九段 つい最近の話ですね。多分、棋士会会長として、今度(理事・会長に)立候補するにあたって棋士会会長としての謝罪という意味で…だということだと思います。

  将棋連盟にこういうことをして欲しいとか、何か要望は。
 三浦九段 こういうことをして欲しい…うーん(少考)…変な感じの答えになると思うんですけど、もうこういうのはご免なので、何て言いますかねえ…例えば…指していて、何か、ちょっと思ったんですけど、コンピューターと一致しちゃったらやだなあとか、そういうのはちょっと嫌じゃないですか。それでまた何かこんなふうになったら。なので、個人的には、職員さんあたりに対局開始前にボディーチェックとかしてもらって、それで、たとえコンピューターと一致したとしてもね、それは偶々だとかね、そういう状況にしてもらわないと。何か、何か、そういうの意識しながら指すのって嫌ですので。もうちょっとこういうのは、もう本当に…
  スマホなど電子機器は預けることになったが、さらにもうちょっと厳しく…
 三浦九段 私の希望としてはそうですね。私だけですので、はい。

  補償面の要求とか、そのあたりは今後は。
 三浦九段 あ、いや、ちょっと、そのことは弁護士さんにお任せてしてますので、ちょっとそれについてはお答えできないです。

  佐藤棋士会長から謝罪を受けた時のお気持ちは。
 三浦九段 まあ、昔から佐藤会長のことは人柄も重々承知しているつもりだったんですけれども、佐藤さんらしく、非常に真面目に謝罪をしていただいたという感じでした。
  反面、常務会はまだ謝罪してないというが、その辺はどのように受け止めているのか。
 三浦九段 あ、そうなんですか、はい…常務会、そうですね…ちょっと山田さん、先ほど3階の事務室で…
 連盟職員 ここに来る前に理事室で佐藤会長、青野専務理事などとお会いして…
  その時、謝罪の言葉を?
 三浦九段 はい、そうですね。
  じゃあそれで謝罪は済んだと受け止められますか。
 三浦九段 えーとですねえ…えーと…ちょっとお答えしにくい質問なんですけれども、あの、んー(少考)…まあその、谷川会長も入院されたということで、まあ常務会は常務会で大変なところもあったのかなあというふうには思ってるんです、はい。そうですね、はい…(10秒ほど考える)…まあ、そういうことはまた今後、私も4か月ぶりくらいに将棋会館に来たので、また今後お話しすることもあると思いますので、はい…済みません、ちょっとあまりお答えできなくて申し訳ありません。

  復帰戦に向けて、ご自身としては「やっと指せる」というような思い、何か喜びみたいなものがあるのか、むしろ不安な気持ちがあるのか。
 三浦九段 そうですね、やっぱりその、ちょっと言い訳になってしまうんですけど、やっぱり、かなりブランクがありますので、正直やっぱり不安はあるんですけれども…とは言ってもいつかは復帰しなければいけなかったわけですから。えー、まあね、どっちにしろ調子は戻していきますので、えー、ちょっと温かい目で、長い目でっていう程までは言いませんけれども、はい、そうですね…まあ4か月、期間が空いてしまったので、取り戻すにはやっぱり、よく倍とか言われますけれど、なるべく早い段階で、早いうちに前と同じ状態に戻せるように頑張りたいと思っています。済みません、ちょっとお答えになってないかもしれないですけど。とは言っても、復帰する以上は本当に全力で頑張りたいと思います。
  以前、「棋士は対局ができなければ意味がない」と言っていたが、将棋を指せることに喜びは。
 三浦九段 そうですねえ…将棋っていうのは、まあ、勝ちたいと思って勝てるものではないですから、いつも通りの平常心の気持ちで臨めるのが一番だと思っていますので…ちょっと私も人間なんで、すぐにその平常心ていう気持ちにはならない、なれないと思いますので、えー、まあ何局か指していくうちに、そういった平常心で指せるようになるものだと思っています。やっぱり復帰初戦とかはさすがに今までと違った緊張はあります。

  谷川会長と島常務理事は辞任したが、他の理事も辞めるべきだという人たちもいるが、どう思うか。
 三浦九段 ちょっと…弁護士同士で話を進めている段階ですので、私がそこに入って政治的なことを言うべき今、立場に立ってないと。当事者ではありますけれども、話し合っている最中ちょっとやっぱり、私がそれについて…やっぱり連盟と話し合っているわけですから、えー…ちょっと何か言えないということを察していただければ。済みません。
  辞めるべきだとかいうことではないにしても、今でも不信感があるのか、それとも会長と島常務が辞任したという今までの流れで多少、何かわだかまりのようなものが解けるのか、執行部に対しての感想は。
 三浦九段 本日、何か記事が出たことですか、産経(おそらくiRONNAの記事のこと)…あー、はい…それにもお答えしたんですけれども、谷川会長のお兄さまの方からお手紙を頂戴しまして、今回のことを本当に誠実に「申し訳なかった」と、「自分の弟がしたことは大変申し訳なく思う」と言ってくださったので、そういったこともありまして。谷川前会長も、いろいろ何回も盤をはさんだりお話させていただいた関係がありますので、谷川会長としても苦しい立場だったのではないかなあというふうに思うところは一応あるんですよ、はい。そうですね、えー(少考)…まあ何でこういうふうになってしまったのかということは知りたいっていうのはもちろんあるんですけれども、はい、えー…谷川会長のお兄さまからの手紙で、そういったわだかまりみたいなものがだいぶ薄らいだ部分はあります。…ちょっと、あまりお答えできないところもあるので…

  連盟の記者会見で三浦九段の名誉回復に努めるとしているが、現時点ではそれはどの程度なされているとお考えか。
 三浦九段 (10秒ほど考える)そうですね、えー…まあ第三者委員会の報告で私がシロという判定は出していただきましたけれども、まだそういった記事や会見とかを見てない方もたくさんいらっしゃると思いますので…私も子どもが生まれて、もう1歳になったのか、子どもがいますので…まあ将棋を知っている方なら私が無実だったというふうに思っていただけるのかなあと思うんですけれども、まだ世間一般では、あれだけ報道されてしまったので、その後の報道を見てない方とか、詳しく事情を知らない方というのもたくさんいると思いますので、そういった世間一般の方にも、これは冤罪だったということは知っていただきたいと思います。それについてはまだ完全ではないと思っていますので。

  昨年から棋士が注目を集めているが、これからの棋士に求められているものは。
 三浦九段 …そうですね…コンピューターが強くなってきたのは本当に事実ですから…とは言ってもチェスだってプロがありますから、やっぱりその、何て言いますかね…コンピューターには敵わなくなったとしても、人間の将棋は面白い、この棋士が指すこの将棋は好きだとか、そういった部分は残らなければいけない。そうしなければ将棋連盟としては立ち行かないと思いますので、えー、そうですね、あのう(少考)…まあ、棋士一人ひとりが、私もそうなんですけど、人間性も含めて、そうですね、技術以外の部分で精進していかなければいけない部分もあるなと思っています。

  三浦先生の思いを代弁して関わった方に対する思いは。また前回、高崎では「自分を疑った人もいる」という言葉もあったかと思うが、そのあたりは今、現時点ではどういう思いを持っているか。
 三浦九段 えーとですねえ、とは言っても、その…怒りの感情とかそういった何か腹が立つのではないかということを言っているところがあると思うんですけれども、でも、それよりもまずは応援してくれたファンの方や、信じてくれた棋士の方がたくさんいましたので、そういった方に感謝するのが先だと。本当に「ありがとうございます」という、「信じてくれてありがとうございます」っていうのがまだまだ応援してくれた方々に対して十分、私自身の感謝の気持ちが伝わってない部分があると思いますので、それがまだ自分自身で達成できてないと言いますか、それが不十分なうちにまだ、その…まあ人間ですからそれはありますけれども、ね、ただ、まずはそっちの応援とか信じてくれた方への感謝が先だと思っています。
  どなたかに直接謝罪を求めたいとか、そういう思いはないのか。
 三浦九段 えー…でもその、何て言いますかねえ、その(少考)…んー…じゃあ誰も悪くなかったのかということになってしまうと、私の受けた出場停止処分は何なのかという話になってしまいますので、えー、んー、そうですねえ…(15秒ほど考える)…まあ、ただ、ちょっともう少しその、未来志向というんですか、前向きな方で行きたいっていうのは、その何て言うんですか、その、それが名誉回復にも関わってくる部分がどうしてもあるんで、ちょっと言いづらいんですけれども、あの、んー(少考)…済みません、ちょっとお答えづらいですね、これ。いや、あの、えー、んー(少考)…ただ、まあ、そっちよりも、何て言いますかね、まず一般の世間の方々にまずは私が無実だった、冤罪だったということを知って欲しい。それに誰かの処分が関わるっていうことになるのか、必要になってくるのかとか、どうしても絡んで来てしまうことなので…まあ、その辺はちょっとやっぱり今後話し合って、弁護士同士で話し合ってもらうしかないと思っています、はい。ちょっと済みません。私の気持ちというより何かその家族の気持ちとかね、今回のことでご心配をおかけした師匠…師匠も毎日電話してくれて心配してくれていたんですけれども…あと、まあ…その…私以上にその、何て言いますかね、あの、んー…ねえ、あの、怒ってくれているっていうかね、そうですね、ちょっと言い方は変ですけれども、怒ってくれているっていう言い方は…でも、そういったその、ファンはやっぱりどうしてもありがたいという気持ちはやっぱりね、怒るっていうことはいい感情ではないですけれども、私のためにそういう気持ちになってくれてるっていう方に対しては本当にやっぱり、どうしても感謝したいという気持ちが出てきてしまうんですよね。自分のことじゃないのにこれだけ怒ってくれているんだというのが、すごいありがたいという気持ちがやっぱりどうしてもあります。ちょっと済みません、答えになっていないと思うんですけど、済みません。

  連盟は名誉回復すると言っているが、イベントに出ることは。
 三浦九段 そうですね、ちょっとあの、詳しい話は私は分からないので、えー…それは普通のお仕事ということではない?
  そういうことを通じて名誉回復するという話を…
 三浦九段 実はですねえ、佐藤新会長、会長になる前、謝罪していただいた時に、そういった話はちらっとお聞きしたので…んー、まあちょっと、詳しい話はまだ言えないっていうふうに佐藤会長には言われていますし、ちょっとあの、佐藤会長のお考えとか私はまだ分からないので、お答えできないんですけど、「名誉回復したい」というふうに佐藤会長に言っていただいたので、それはありがたいと思っています。
  名誉回復のために積極的にイベント出演を促す考えのようだが。
 三浦九段 まあ、ファンとの交流は元々大切なことですから、そこに自分のその何て言うんですかね、私情を持ち込むものじゃないと思っています。それとは違って、そうやってファンの方と接する機会が増えることがそれ(名誉回復)につながるということであればまあ、えー…あまり仕事に私情を持ち込むのは違うと思っているので、私は。…ただファンとの交流は元々大切なことですから、それはそれで大切な仕事として、あるいはファンとの交流は楽しむ中でやるものだと思っていますので。…それは普通に、まあ名誉回復とはちょっと違う、今のお話だとちょっと関連してないので。ただ佐藤会長には何かお考えがあるでしょうから、それには積極的に私自身は関わっていきたいと思っております。

  研究は先週ぐらいから駒に触れるようになったというのは、時間が取れなくてというのか、気持ちとしてなかなか盤の前に向かなかったのか。
 三浦九段 それも全部ですね。時間がないのもありますし、そもそも復帰できるかどうかも分からない状態が長く続きましたし、えー、まあ変な話ですけど電子機器全部、預けちゃってるので、最新の棋譜とか全然見れないですから。…いろいろな要素が重なって勉強はまったくできない状況ではありました。まあただ、復帰もうね、しますので、えー、そうですね、まあ気持ちを切り替えるっていうか、もっと早くに切り替えるべきだったとプロとしては思うんですけれども、えー…その、ねえ、ブランクがあったわけですから…まあ、それはでもね、こちらの責任ていう言い方は変ですけれども、えー…その間にも勉強する気だったらできたわけですから、はい、あの…(10秒ほど考える)…んー、難しいですね、本当に、復帰できるのかということを考えていた時もあったので、さすがに将棋に向かう気持ちには、なかなかそういう状況ではならないですけど、えー…なので、まあ完全に調子が戻ってくにはちょっと時間がかかる部分があったとしてもちょっとご容赦、ファンの方にはちょっともう少し時間いただいて…とは言っても、えー…まあ、そうですね、これから頑張ります。まだ1週間近くありますので、はい、頑張ります。

  第三者調査委員会は「証拠なし」、まあ冤罪だという一方で、「処分はやむを得なかった」という判断で、将棋連盟もその流れで来ているが、そこについては。
 三浦九段 いま言われた「証拠なし」って言うのは、言い方が…もちろん悪意を持って言っているのではないのは分かりますよ、分かるんですけど、あの…私も会見(12月26日の第三者調査委員会の会見)見ましたけど、その、過去の、悪魔の証明だからできない…まあ、あの、第三者委員会の方と一番最後にお会いした時に…まあ、これは言ってもいいと思うんですけど、会話の内容あまり言えないので…ただ、第三者委員会の方は、私が、最後の方は、もう完全に無実って分かっていましたよ。
  ごめんなさい、言い方が…
 三浦九段 いやいやいや大丈夫です、大丈夫です。
  処分が「やむを得なかった」という表現ですが、それを前提にいろいろ話が進んで、会長がお辞めになった時にも、「やむを得なかった」という話の前提で記者会見をやってここまで来ているわけですが、そこについては、何か。
 三浦九段 えー、そうですね、えー(少考)…まあ、谷川会長も辞任されましたし、あまりその何て言いますか…まあ、あまり責めるというか、そういうことにつながってしまうので、まあ…「やむを得なかった」…うーん(10秒近く考える)…まあ結果論になってしまうんですけど、本来、一番良かったのは、週刊誌に出るってもう決まってたっていう話ですよねえ…とは言っても、私を信じて、それでそのまま指させてもらって、それでタイトル戦をやってる最中に不正はなかったというふうに判断してもらって、そうすれば私も常務会も傷つかずに済んだのかなあと。「棋士として三浦を信じる」という結論を出していただければ、週刊誌に出ようが何だろうが、それは第三者委員会に任すという感じで、そのままタイトル戦を指して、それでこういう結論になれば、誰も傷つかずに済んだのかなあというのがあるので、それは残念だと思ってるんですよね。お互いに一番良かったということになるのではなかったのかなあという思いはあるんですけれども…

  最新の棋譜はもう並べているのか。
 三浦九段 先週、将棋連盟の職員に最新の棋譜のダウンロードの仕方を教わって、はい…
  これから来週の対局に向けて、どれくらい…
 三浦九段 そうですね、昔を思い出して…あー、けっこうもうね、40過ぎてるんですけど(笑)、まあ若い時みたいに10時間という…まあ、うん、そうですね、頑張って10時間、勉強したいと、はい…まあ、8時間ぐらいにして…

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