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飯田周辺の銘桜―その3

17040701 飯田周辺には100本近い銘桜があると書きました。一本桜の他に、沿道・沿川の桜並木や、いわゆる花見の名所も多く、それらを合わせると100か所をはるかに上回ります。
 今回は飯田中心市街地から離れた場所にある一本桜を中心に、足を運んで絶対に損のない銘桜を厳選して紹介します。いずれも山里にあり、周囲のロケーションとセットでポイントの高い桜です。

<氏乗の枝垂れ桜>写真左
 喬木村氏乗の小学校分教場跡にある巨大な枝垂れ桜です。
 明治42(1909)年に喬木第二尋常高等小学校氏乗分教場の入学記念樹として植えられたものと伝えられています。喬木村天然記念物。
 高さ22mの樹上から地面近くまで、数m以上にもなる長い下垂枝が垂れ下がっています。花は八重咲きで、濃い紅色です。私が見に行った時は樹下の斜面にスイセンが植えられていて、桜のピンクとスイセンの黄色、周囲の緑、青い空の対比が見事でした。
 分教場は昭和33(1958)年まで使われましたが、校舎は残っていません。グラウンドだった広場の周囲に、この桜の他にも何本かの桜があります。
 例年の見ごろは4月上中旬。近くの宇治三柱神社は4月中旬に例祭があり、獅子舞が出ます。
 飯田市中心部から喬木村中心部を経て、三遠南信自動車道矢筈インター・遠山郷方面に向かって進む途中に通る場所で、行けばすぐに目に入ります。飯田市中心部から車で30分ほどかかりますが、十分に見に行く価値があります。駐車場はあまりないので、十分注意して邪魔にならない安全な場所に駐車してください。

<杵原学校の枝垂れ桜>写真右
17040702 飯田市竹佐の旧山本中学校の校舎前に立つ枝垂れ桜。山里の高台に、木造校舎(登録有形文化財)を背景に桜が咲き誇る懐かしい風景は郷愁を誘います。
 山本中学校は昭和60(1985)年に統合により廃校に。校舎は昭和24(1949)年に建てられたもので、廃校後も地元住民の手で保全され、戦後の新制中学校の校舎としては全国で初めて国の登録有形文化財になりました。山田洋次監督・吉永小百合主演の映画「母べえ」、「母と暮せば」のロケ地として相次いで使用されたこともあります。
 この木造校舎を整備・活用しつつ後世に残そうと、平成17(2005)年に地元有志数十人が「杵原学校応援団」を設立。校舎を拠点に、授業体験、こども農業体験、里山体験教室、山本学講座などのイベントを展開しています。
 平成23(2011)年から「杵原学校桜フォトコンテスト」を開催し、山田映画で撮影監督を務めている長沼六男氏(飯田市出身)が審査委員長を務めています。
 例年の見ごろは4月上中旬。中央道飯田山本インターのほど近く。駐車場あり。

<笹見平のしだれ桜>写真右
17040703 豊丘村河野堀越にある枝垂れ桜。エドヒガン系で高さ13m、枝張り15m、均整の取れた美しい樹形で、周囲の尾根筋と空を背景にした立ち姿は独特の魅力があります。推定樹齢400年。
 堀越はマツタケ産地として知られる山間部で、集落を結んでぐるぐると山をめぐり尾根筋を走る道路のわきにこの桜があります。「笹見平」というのはこの集落の名称でもあり、地主さんの屋号でもあるとのことです。
 鎌倉時代末期、護良親王(後醍醐天皇の皇子)に仕えていた村上義光が元弘3(1333)年に幕府方と戦って自刃した後、残った一族が北信濃に落ち延びる途中で堀越に定住し、義光の墓を作って桜を植えたという伝説があります。
 実際のところは、ここの地主さんのご先祖がこの土地に移り住んで亡くなった人々を葬った場所に墓標変わりに植えたものだそうで、桜の周辺は地主さんの墓地になっています。
 例年の見ごろは4月中旬。飯田市中心部から車で35分ほど。付近の道路わきに普通車数台くらいなら駐車できるスペースがあります。地主さんが温かく迎えてくれますが、あくまでも個人の所有地だということをわきまえて行動しましょう。

<黒船桜>写真右
17040704 阿智村清内路にある枝垂れ桜で、ペリー来航時に植えられたと伝えられています。阿智村天然記念物。
 国道256号を木曽方面に向かって進み、清内路小学校の手前で左の細道に入って下り、橋を渡ったところにあります。
 高さ20m、横への広がりも大きく、黒船さながら周囲を圧倒する堂々たる姿です。
 毎年、有志の手でライトアップが行われています。
 あまり知られていませんが、冬の雪化粧も見事。年によっては4月中旬に花の上に雪が積もることもあります。
 例年の見ごろは4月中下旬。飯田市中心部からは車で50分ほど。
 清内路地区にはこのほか「清南寺の夫婦桜」、「説教所の大桜」(ともに阿智村天然記念物)などの銘桜もあります。

<駒つなぎの桜>写真右
17040705 阿智村智里「園原の里」に立つエドヒガンの古木。標高800mほどの高い場所で、開花時期は平地よりかなり遅くなります。阿智村天然記念物。
 こちらは東山道・園原ビジターセンターはゝき木館ホームページの「駒つなぎの桜」開花情報です。3年前の分から、開花期前後に日を追って撮影した写真が見られます。
 園原は古代東山道が通っており、日本武尊が東征帰路に越えた神坂峠や、源氏物語の巻名で知られる「ははき木」などがある歴史ロマンの里です。
 「駒つなぎの桜」は、源義経が奥州に下る時に馬をつないだという伝説があり、この名で呼ばれています。推定樹齢400~500年で、義経とは時代が合わないのですが、伝説なので仕方ないですね…
 高さ約20m、太い幹から大きな枝が扇状に広がっています。平成16(2004)年に台風で数本の枝が折れる大きな被害を受けたりもしましたが、まだまだ美しい樹形を保っています。
 すぐわきに水田があり、以前は水を張った田に鏡のように満開の花が映る姿が人気でした。残念ながら近年は樹の生育状況に配慮して田に水を張らない年が多くなり、今年も予定はないとのことです。
 付近に駐車場はありません。道路が細くて車のすれ違いも困難なので、600mほど手前にある「はゝき木館」に駐車して歩きます。例年の見ごろは4月下旬。ライトアップあり。飯田市中心部からは車で50分ほど。

 以上のほか、同じ町村の中にあって一度に回るのに比較的都合が良い銘桜をいくつか紹介しておきます。

▽松川町=円通庵の枝垂れ桜、原田の桜、円満坊の桜
▽高森町=新田原の江戸彼岸、瑠璃寺の桜、松源寺の桜
▽阿南町=愛宕様の小彼岸桜、瑞光院の枝垂れ桜
▽売木村=観音堂の桜、大入の枝垂れ桜

 (つづく)

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