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満蒙開拓平和記念館

 阿智村(飯田市の西隣)に満蒙開拓平和記念館という民間運営の施設があります。満蒙開拓に特化した資料館は全国唯一だそうで、2013年4月にオープンして以来、当初計画を大きく上回る多くの来館者を迎えています。県外から訪れる方も多く、ここと岐阜県八百津町の杉原千畝記念館をあわせて回る方もあるようです(車なら中央道経由で移動可能です)。

 戦前・戦中の満州移民(開拓団、青少年義勇軍ほか)は全国で27万人とされ、長野県は全国で最も多い約3万4千人を送り出し、2番目の山形県の約1万7千人を大きく上回っています。その中でも長野県南部の下伊那地域は8354人を送っており、全国で最も多く満州移民を送り出した地域と言えます。当時の人口に占める割合は約4.5%で、22人に1人が満州に渡りました。このうち終戦後に帰国できたのは約半分の4197人で、残り4157人が未帰還者(死亡者3829人、ほか残留・不明)となりました。

 満蒙開拓平和記念館は、史実を正しく後世に伝えるため、関係資料を記録・保存・展示・研究しています。こちらが満蒙開拓平和記念館ホームページです。
 展示内容は、まずイメージ再現された当時の開拓団の住居、青少年義勇軍の資料などが並ぶ通路を通り、最初の部屋で開拓団の概略を知る映像を観ます。そこからは時系列に沿って、開拓団のたどった道を追います。まず次の部屋で開拓団・義勇軍の送出や現地の生活の様子を展示。次の部屋は敗戦による逃避行で、体験者がつづった証言などが数多く展示され、直接読めるようになっています。次の部屋は日本への引揚げと帰国してからの再出発です。
 次の部屋には、「中国残留孤児の父」と言われた山本慈昭氏についての資料があります。山本氏は学校教師として阿智村から満州に渡り、敗戦後、収容所で妻子と離されてシベリヤ抑留され2年後に帰国。1969(昭和44)年になって、娘が中国人に育てられて生きている可能性があることを知り、中国に残った多くの日本人残留孤児の肉親を探す活動を始めました。日中国交回復前の活動は国の協力が得られず困難を極めましたが、やがてこの活動が結実して多くの残留孤児が肉親と再会したり日本への帰国を果たしました。
 最後の部屋にはメッセージボードがあり、平和な未来に向けた来館者の感想が展示されています。

 記念館は展示だけでなく、満蒙開拓語り継ぎ活動の拠点、帰国者の交流の場などとしても施設を活用。語り部の講演(月2回)、子ども学習会、国際シンポジウム、語り継ぎ活動のボランティア養成講座、慰霊祭など多くの活動を行い、多くの満蒙開拓移民を送り出した地域の「負の歴史」から、アジア・世界に向けた「平和・共生・友好の未来」創造への発信拠点となることを目指しています。

 上記のように「全国で27万人」と数字で書けばひとまとめになってしまいますが、開拓団員や子どもたち一人ひとりにかけがえのない尊い人生・ドラマがあります。そして来館者一人ひとりからもさまざまな情報や感想が寄せられます。そうした物語の一つ一つをすくい上げているのが、事務局長の三沢亜紀さんのブログ「プラットホーム」。こちらもぜひご覧ください。

 入館料は一般500円(団体20人以上は1人400円)、小中高生300円(同200円)。休館日は毎週火曜日(祝祭日の場合はその翌日)、第2・4水曜日、年末年始など(具体的な休館日は満蒙開拓平和記念館ホームページに掲載されています)。開館時間は午前9時半~午後4時半(入館は午後4時まで)。団体予約の場合は相談に応じることもあります。
 毎月第2・4土曜日の午後2時~3時半、館内で語り部の講演があります(1~3月は休み)。

 記念館は阿智村中心部から下條村方面に進む方向にあり、場所が分かりにくいと思います。ホームページには「周辺に看板も設置していますが、建物自体は駐車場に入るまで遠くから見えません。迷ったかもと思ったら、まずお電話ください」と書いてあります。電話番号は0265-43-5580。
 昼神温泉―「こまんば」バス停―記念館を結ぶ阿智村巡回バスもあります(昼便と夕方便の2往復)。

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