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飯田で生きている、あの「三国志」の人形たち

 テレビ放送で大人気を博し、30年余を経た今も根強いファンがいるNHK人形劇「三国志」(放送期間1982~84年)。この番組の制作に使用された川本喜八郎氏(1925年1月11日~2010年8月23日、アニメーション作家・人形美術家)の人形は今、飯田市川本喜八郎人形美術館にあります。NHK人形歴史スペクタクル「平家物語」(放送期間1993~95年)や、その他の人形アニメーションで使われた人形などもあります。
 こちらが川本喜八郎人形美術館ホームページです。また、こちらは川本喜八郎公式ウェブサイトで、「三国志」、「平家物語」、長編・短編アニメの作品と人形の紹介があります。

 川本氏が初めて「人形劇のまち」飯田を訪れたのは1990年の人形劇カーニバルで、日中合作人形劇「三国志」の招待公演でした。その2年後、飯田で川本氏の人形アニメーションの上映会が開かれた際、観客からの質問がいずれも人形の本質に迫るものだったことに驚き、またアンケートの中に「人形が生きている」という感想が多数あったことに感銘を受けたといいます。その後、飯田に江戸時代から300年にわたる人形浄瑠璃の伝統があることを知り、黒田人形や今田人形が今も続き、さらに人形劇カーニバル(現在の人形劇フェスタ)が毎年開催され、人形や人形劇に対する感性が今も連綿と育まれていることを実感して、飯田市に人形を寄贈することを決めたそうです。
 川本喜八郎人形美術館は2007年3月、飯田市の中心市街地にオープンし、川本氏が館長に就任しました。
 人形の寄贈が飯田市から正式に発表されたのは1995年6月で、それから川本氏の意向に沿った美術館がオープンするまで12年もかかったわけですが、その間に川本氏は何回も飯田を訪れています。1998年4月には、「木を植えた男」で知られるカナダのアニメーション作家フレデリック・バック氏夫妻を伴って来飯し、3日間にわたって飯田市周辺を案内しています。「日本の農村風景を見たい」というフレデリック氏の希望に応えたもので、その頃にはかなり飯田に親しみ、飯田の事情にも通じていた様子がしのばれます。

 美術館オープンにあたり、川本氏は「飯田には『人形が生きている』と感じる血がある」、「私の人形が行きたいと思える場所は飯田のほかにない。人形が『行きたい』と決めた」という言葉を残しています。また川本氏は「この美術館の真の使命は人を育てること」と述べ、その考えに沿って美術館では展示や人形アニメ上映だけでなく、ワークショップ、三国志こども写生大会などが行われています。
 こうした川本氏の思いは、川本喜八郎人形美術館ホームページの「美術館について」コーナーに「寄贈メッセージ」として掲載されています。この文章は1994年12月、人形の寄贈を決意した川本氏が飯田市に送ったものです。

16080201 川本氏は人形を作ることを「彼等が生まれてくるのをお手伝いする」、「人形が私の手を借りて生まれてくる」と表現していました。また「人形は人間の代わりではない」という言葉も残しています。人形やアニメには、人間の俳優が演じるのとは違う演技・表現があり、そこに人形の生命が宿ると考えていたのでしょう。「三国志」の人形は1人ひとり、他の誰でもなく、その人物として生まれてきました。
 右の写真は美術館パンフレットで、表紙の人形は代表作の1つといえる諸葛亮孔明。川本氏は人形劇「三国志」のために約200体の人形を作りましたが、中でも孔明には特別の思い入れがあったようで、「孔明のカシラはなかなか生まれてくれなくて、出来上がってみると、『私は違うよ』とのたまい、4度作り直して、くたくたに疲れ果てた夜中に、やっと『私が孔明だ』と名乗りをあげてくれた」と回想しています。

 今年は美術館オープンからちょうど10年目。毎年2回ほど展示替えがあり、6月初めに19回目の展示替えが行われました。
 現在の展示テーマは三国志「後漢末―三顧の礼」。まず呂布と貂蝉、黄巾党の張3兄弟、漢朝の弘農王、陳留王と将軍たち。「三顧の礼」では劉備、関羽、張飛、孔明はじめ劉備配下の趙雲、馬超、黄忠といった豪傑たち。そして曹操、董卓、陶謙、馬騰、袁紹、袁術、劉表といった群雄に、呉の孫堅、孫策、孫権と甘寧、太史慈、程普など。約60体が並び、「三国志」の名場面の数々を思い起こさせます。
 いいだ人形劇フェスタの期間中(8月2~7日)は館内で人形劇の公演やシンポジウムも行われます。

 川本喜八郎人形美術館の開館時間は午前9時30分~午後6時30分(入館は午後6時まで)。休館日は毎週水曜日(祝日開館)と年末年始。入館料は大人400円(20人以上の団体は1人300円)、小中高生200円(同150円)。

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